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KKさんのアクセシビリティに関する論文

KKさんがコンテストで優勝したといわれるアクセシビリティに関する論文が気になったので読んでみた

https://nysba.org/app/uploads/2021/03/Business-Law-Journal-2021-Vol-25-No.-1_8.5X11_WEB.pdf

アクセシビリティがどう事業主に影響あるか?というようなタイトルだけど、内容はWebサイトをもつ事業主に起こりうる特定の法的問題(特に商標、プライバシー、ADAコンプライアンスの問題)と、それらの対処方法が3つ述べられていた

1. 事業主がWebサイト名やブランド名を検討する時に発生する可能性がある法的な問題

事業主がWebサイトを検討する時に、サイト名が法的に問題ないか、法的に問題がなくても同一または類似の名前がないか確認する必要があるよという話し

万が一聞いたことのない企業のサイト名や製品が類似している場合、起訴に発展する可能性がある

サイト名やオリジナルの製品名は企業の性質と目的に関連しているべきであるが、説明にあたるような名前にするのではなく、可能な限りユニークにすべき

例えば「オンラインコーヒーストア」という汎用的なサービス名、「カフェイン抜きブレンド」といった製品説明を含む製品名、「コロンビアコーヒー」といった産地を含む製品名にはすべきではない

対策は、USPTOのウェブサイトにアクセスして同一または類似の名前または商標が提出されているかどうかを確認し、問題なければ米国特許商標庁に提出して商標として登録しておくこと

2. プライバシーの問題について

事業主は、顧客の情報を収集、使用、開示することを顧客に通知しないと、リスクにさらされることを認識する必要があるよという話し

日本もそうだが、米国では企業が情報を受け取ることを顧客に通知しなかった場合 、連邦取引委員会は企業に対して苦情を申し立てることがある

個人を特定できる情報の例には、社会保障番号、生年月日と出生地、個人の財務情報、雇用記録、および個人の前科が含まれるが、これらに限定されず、他の情報と紐付けて個人を特定、追跡できる場合も含まれるので注意が必要

企業がプライバシーポリシーを作成するとき重要なのは、収集する情報の種類とその情報の受け取り方法、企業が情報を使用および保護する方法、第三者と共有する情報の種類、および顧客による情報の管理を特定する必要がある

リスクを最小限に抑えるために、連邦法だけでなく州法も考慮する必要がある

オンラインになると顧客はもはや地元ではなく世界中であることに注意する

ビジネスは拡大する可能性があるが事業主はより大きなリスクにさらされる可能性がある

3. 障害者がWebサイトを利用する際の問題

ADA (Americans With Disabilities Act)という言葉を初めて聞いた

障害を持つアメリカ人法というものらしい

What is the Americans with Disabilities Act (ADA)? | ADA National Network

障害を持つアメリカ人法(ADA)の下では、公共施設は障害に基づく差別が禁止されており、ADA基準に準拠する必要がある

そのため「ウェブサイトが公共施設と見なされるかどうか」は問題になりうる

ADAのタイトルIIIでは、公共施設および商業施設と述べている

法律はウェブサイトが公共施設の定義に含まれるかどうかを明確に述べていないので、判例法を調べて事業がその施設の範囲かどうかを決定しなければならない

Winn-Dixie事件では、視覚障害のある個人である原告が、ADAのタイトルIIIに基づいて、食料品店の地域チェーンであるWinn-DixieStoresに対して訴訟を起こした

議論された問題の1つは、原告がアクセスできなかった店舗のWebサイトが公共施設のサービスと見なされているかどうか

連邦裁判所は、ウェブサイトは公共施設のサービスであり、ウェブサイトは実店舗の場所と「高度に統合」され、「ゲートウェイとして機能」していると結論付けた

ウェブサイトが施設(実店舗)と完全に統合「されている」のか「されていない」のかは難しいが、実店舗にわずかに接続している場合は、ADAを潜在的に適用可能と見なす必要があり、障害を持つ顧客が自分のWebサイトを利用できるようにする必要がある

ADAは、企業が従うべき特定の基準に対応していないが、米国法務省ではWebコンテンツアクセシビリティガイドライン(WCAG)を引用している

Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0

WCAGは、ウェブサイトの設計者がコンテンツについて4つの原則に従うことを推奨している

  1. 知覚可能(ユーザーが情報を認識できる必要がある)
  2. 操作可能(ユーザーがウェブサイトを操作できる必要がある)
  3. 理解可能(ユーザーは、データとWebサイトの操作を理解できる)
  4. 堅牢である(テクノロジーが進化してもコンテンツにアクセスできる必要がある)

そして、これらの原則の下で、アクセス可能なWebサイトを作成する際に12のガイドラインに準拠することを推奨している

  1. 知覚可能
    1.1. すべての非テキストコンテンツには、拡大印刷、点字、音声、シンボル、平易な言葉などの利用者が必要とする形式に変換できるように、テキストによる代替を提供すること。
    1.2. 時間依存メディアには代替コンテンツを提供すること。
    1.3. 情報、及び構造を損なうことなく、様々な方法 (例えば、よりシンプルなレイアウト) で提供できるようにコンテンツを制作すること。
    1.4. コンテンツを、利用者にとって見やすく、聞きやすいものにすること。これには、前景と背景を区別することも含む。
  2. 操作可能
    2.1. すべての機能をキーボードから利用できるようにすること。
    2.2. 利用者がコンテンツを読み、使用するために十分な時間を提供すること。
    2.3. 発作を引き起こすようなコンテンツを設計しないこと。
    2.4. 利用者がナビゲートしたり、コンテンツを探し出したり、現在位置を確認したりすることを手助けする手段を提供すること。
  3. 理解可能
    3.1 テキストのコンテンツを読みやすく理解可能にすること。
    3.2 ウェブページの表示や挙動を予測可能にすること。
    3.3 利用者の間違いを防ぎ、修正を支援すること。
  4. 堅牢 (robust)
    4.1 現在及び将来の、支援技術を含むユーザエージェントとの互換性を最大化すること。

まとめ

アメリカにはADAというのがあるの知らなかったし、実店舗との関係性が大事なのもしらなかったので勉強になった