事業のコアドメインの見つけ方で、Wardley Mapping というのを知ったので調べた
Wardley Mapping(ウォードリー・マッピング)は、Simon Wardley氏によって開発されたツールで、ビジネス戦略の策定において組織が提供する価値やサービスをビジュアル化し、それらがどのように相互関連しているかを理解するためのツール
Wardley氏が経営していた会社の失敗の経験などを通じて、デジタル化における経営判断をサポートできるような、方向感のある「地図」を描きたくて作ったとのこと
以下の記事に書かれているのだが、彼がCEOとして道に迷っていた時に本屋でたまたま手にした「孫子の『兵法』」を読んで、自分の戦略の理解において何かが欠けていることに気づいたらしい
孫子は他者との争いにおいて重要な 次の5 つの要素について説明している
- 目的…道徳的義務、行動範囲、なぜそれを行うか、他の人があなたをフォローする理由
- 風景…競争している環境や部隊の位置、風景の特徴、行く手を阻む障害物
- 気候…環境に作用する季節やゲームルール、競合他社の行動
- 教義…普遍的な原則であり、直面する状況に関係なく機能するように見える一連の信念
- リーダーシップ…自分の目的、状況、気候、能力を考慮して選択する
「他者との争い」を「他社との競争」に置き換えて、これをビジネス戦略にも応用しようという考え
手順(目的から風景まで)
手順は上の順番通りだが、まず目的から風景までの手順はMiroのテンプレートを使うのが良さそう
ウォードリーマップテンプレート | ビジネス用コンテクストマップ | Miro
このテンプレートに詳細な手順が記載されていて、付箋を活用してアンサーを描いていく
- Purpose: この組織は何のために存在しているか?
- Scope: 何をマッピングするのか?
- Users: ユーザーは誰か?
- User Needs: ユーザーはあなたに何を求めているのか?各ユーザーのジャーニーは何か?
- Value Chain: ユーザーのニーズを満たすために必要な要素を矢印で繋ぐ
- Map: Value Chainを丸々マップに移し、各要素を進化の特性(横軸)に合わせて水平移動する
5のValue Chain の縦軸は顧客から見て「見える」か「見えない」かの軸(可視化軸と呼ばれる軸)で、上位のカスタマーを置いて→ニーズ→必要な要素の順に矢印で繋いでいく
例えば、顧客が「オンラインで写真を編集したい」というニーズを持っていると仮定した場合、「オンラインストレージ」が必要であると想像すると以下のような図になる
まずは一つずつやるのがポイントであり、合っているか間違っているかも気にしない方が良い
これを6のMapにそのままコピーする(最初のCustomerの位置はどこでも良さそう?とりあえず中央におく)
横軸は以下のように分かれていて(意味はMiroにもう少し詳しく書いてある)、これに合わせて要素を水平移動させる
- Genesis…マーケット: 不明
- Custom…マーケット: これから、荒削り
- Product (+rental)…マーケット: 成長中
- Commodity (+utility)…マーケット:成熟
やってみると、これは時代によって代わることがわかる
説明のために仮に2005年の時とすると以下のような感じになる(合っているか間違っているかはまずは気にしない)
これで5.Value Chain -> 6.Map の1セットが終わったので、 5に戻ってくり返す
次に、「オンラインストレージ」を実現するには「Webサイト」が必要なので繋げる
そして、それを2005年だとしてマップに持っていく
これをくり返すとマップが出来上がる
実はこの例はWardley氏のブログで紹介されていたもので、最終的なマップは以下となる
全ての線は「ニーズ」でつながっている
完成した図をみると「オンラインストレージ」「Webサイト」は顧客の直接のニーズにもなりうるので、顧客からもつながっていたりする
逆に一番下は「電力」まで掘り下げていて、マーケットの成熟とはこのあたりを指すことがわかる
目的から風景までの手順はこれで終了となる
より詳細な説明はWardley氏の記事にある
これは一発で描くことが難しいと思うので、チームメンバーでよく吟味することが必要だと思った
この後の気候〜の手順はこのマップを使って実際に事業戦略を練ることになる(別ブログにまとめる)